変わった後輩がいるんですよ、と昨年12月のフィギュアスケート全日本選手権で、フリーの演技を終えた渡辺倫果(22)=三和建装・法大=は報道陣に話し始めた。
なんでも、その後輩は全日本の1週間前に突然「倫果ちゃん、俺3カ月ぶりにループやるわ」と言ってきたらしい。実際にその日のうちに4回転ループを成功させ、この全日本でも見事に決めた。
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この話をしていると、前日に男子総合2位に入った中田璃士(りお)(16)=TOKIOインカラミ=がそばを通りかかった。
「ああ、後輩! ちょうどうわさしていたんだよ」と渡辺。中田はうれしそうに「俺の?」と応じた。
中田はフリーで、冒頭の4回転ループに成功。その後も全ての要素で加点を引き出し、ジュニア選手ながら表彰台に立った。
12月上旬にあったジュニアグランプリ(GP)ファイナルでは、4回転はトーループ1本だった。先々を見据えれば本数を増やしたい。そこで、夏まで少し練習していた程度のループを全日本前に練習してみた。するとあまりにうまくいったので組み込んだ。全日本はその大技を成功させたことで、一気に流れをつかんだ。
演技後は、氷上で仰向けになって喜びを表した。天井を見つめた気分は「天国でした」。
世界選手権への切符を争うシニアの先輩たちが次々と崩れる中、ジュニアだから伸び伸び滑れた、というわけではない。
「あのファイナルの後だから…