1683年の絵図には、現在の伊賀町にあたるエリアが眉山のふもとに描かれている=徳島城博物館蔵

 「徳島市伊賀町」。転勤で徳島市に引っ越してきたばかりの私は、地名を見て驚いた。かつて三重県伊賀市に住んでいたことがあり、「忍者と関係がある町ではないか」と考え、さっそく専門家らに話を聞きに行った。

 徳島藩の歴史に詳しい徳島市立徳島城博物館の根津寿夫館長(60)によると、徳島城の南西にある眉山(びざん)のふもとにある現在の伊賀町には確かに、伊賀国(現在の三重県伊賀市、名張市周辺)出身の「伊賀者(いがもの)」が住んでいたという。

 伊賀者は江戸時代前期に5人が徳島藩・蜂須賀家に雇われ、後に13人まで増えたとみられる。現在は静かな住宅地になっている伊賀町周辺は「城下町の外れに新しく開拓された場所だったのではないか」と根津館長は推測する。

 徳島藩の伊賀者の仕事は多岐…

共有
Exit mobile version