住民の高齢化と、建物の老朽化という「二つの老い」が進むマンション。理事のなり手不足などさまざまな悩みが顕在化しています。管理組合の役員を辞退する人に「辞退金」を課してもいいのか。万一のために管理組合が住民から鍵を預かることに、法的な問題はないのか。マンションの問題に詳しい弁護士の吉田修平さんに聞きました。(聞き手・構成=石川春菜、山田史比古)
【視聴申し込みはこちら】記者サロン「高齢化するマンション 管理組合の悩み」7月31日まで配信します
◇14日午後8時から7月31日まで配信します。高齢化と老朽化が進むマンション。管理組合が抱えるさまざまな悩みへの対処法は。日本相続学会副会長の吉田修平弁護士と記者が語りあいます。視聴の申し込みをしてご覧ください。
「高齢」は役員回避の根拠になる?
――高齢というのは、管理組合の役員を回避する根拠になりますか。90歳を過ぎても、元気な人もいます。
高齢なので理事をできません、というのは、合理的に考えてやむを得ないと思います。
理事になるということは、マンションの管理全般にわたって判断をして、必要に応じて総会に決議を求め、具体的な管理行為をしていかなければならないということです。時間も労力も使いますし、能力がなければ務まりません。
管理組合の理事というのは、株式会社の取締役に似ているところがあります。取締役に能力がない人がなるのは考えられませんし、一定の年齢に達した場合には、能力上または健康上の不安ありとして定年制をひくということもありえると思います。
同じように、マンションでも理事のなり手がいないからどんなに高齢でもやらなければならない、というのはきわめて不合理です。
それなりの年齢でできなくなることは当たり前のことです。無理をして受けて大きなミスをする、あるいは理事会に出席できない、仕事ができない、というのでは意味がありません。
「辞退金」に法的な問題は?
――管理組合の役員を高齢などの理由で辞退する場合、「辞退金」などを課しているマンションもあります。法的な問題はありませんか。
理事のなり手がおらず、一部…