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奈良県葛城市の当麻寺中之坊にある江戸時代末期に造営された稲荷社(国登録有形文化財)社殿の壁面に、唐獅子や霊鳥などの極彩色壁画が描かれていたことが分かった。修理作業中の15日、羽目板を外したところ、内部から鮮やかな絵画が現れた。中之坊は19日の1日限りで一般公開する。
稲荷社は中之坊境内の北西に位置する鎮守社で、古代豪族の葛城氏が信仰したとされる豊受大神(とようけのおおかみ)をまつる。社殿は高さ3・3メートルの木造平屋建ての入り母屋造りで、檜皮(ひわだ)ぶきの屋根に千鳥破風(ちどりはふ)、唐(から)破風が付く複雑な構造だ。風雨で傷みが激しく、昨年7月から約58年ぶりの修理を進めている。
松村實昭貫主(52)によれば、以前から社殿背面の羽目板の隙間から彩色文様のようなものが見えており、今回の修理の際に羽目板を外して確認することにした。
15日午前、修理担当者らが社殿左右の両側面(いずれも縦70センチ、横67センチ)、背面(縦72センチ、横85センチ)、正面の羽目板を外すと、右側面から青色と赤色の2頭の唐獅子が、左側面からは緑色を基調にした唐獅子とボタンの鮮やかな絵画が現れた。背面には霊鳥が、正面にも小さな梅の花が描かれていた。
松村さんは「こんなに素晴らしい絵が中に隠れていたのに驚きました。これからも大切に守っていきたい」と話す。
一般公開は午前10時~午後3時。入山料800円。問い合わせは中之坊(0745・48・2001)へ。