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旧優生保護法下で障害のある人たちに不妊手術を強制したのは違憲とする最高裁判決を受け、被害者への謝罪と被害回復のための決議が衆院本会議で可決された=2024年10月7日午後1時8分、岩下毅撮影
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 およそ半世紀にわたる旧優生保護法(旧法)下の重大な人権侵害に対し、救済のための法案が成立する見通しとなった。踏み込んだ内容となった一方で、補償の周知などハードルもある。

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 「優生思想に基づく誤った施策を推進させた責任を認め、心から深く謝罪する」

 7日の衆院決議には、そんな文言が並んだ。旧法下で実施された手術では、国は、身体拘束したり、だましたりすることが許されると通知。苛烈(かれつ)でずさんな運用を後押しした。

 最高裁判決が旧法を違憲と断じたのは今年7月。以来、超党派の議員連盟は新しい補償制度づくりを進めてきた。

 判決を上回る内容も盛り込んだ。配偶者には、被害の大きさを訴えた弁護団の要望を受け入れ、最高裁が命じた200万円を上回る500万円を補償。判決には中絶手術のみを受けた原告はいなかったが、弁護団の要望や中絶手術の被害者からのヒアリングも踏まえ、一律200万円を支給することを決めた。

 だが、課題も残された。

 制度の周知もその一つだ。旧法下の不妊手術は約2万5千件。対して、被害者に一律320万円を支払う一時金支給法での認定は、千件程度にすぎない。

 新しい補償制度で国は、これ…

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