およそ半世紀にわたる旧優生保護法(旧法)下の重大な人権侵害に対し、救済のための法案が成立する見通しとなった。踏み込んだ内容となった一方で、補償の周知などハードルもある。
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「優生思想に基づく誤った施策を推進させた責任を認め、心から深く謝罪する」
7日の衆院決議には、そんな文言が並んだ。旧法下で実施された手術では、国は、身体拘束したり、だましたりすることが許されると通知。苛烈(かれつ)でずさんな運用を後押しした。
最高裁判決が旧法を違憲と断じたのは今年7月。以来、超党派の議員連盟は新しい補償制度づくりを進めてきた。
判決を上回る内容も盛り込んだ。配偶者には、被害の大きさを訴えた弁護団の要望を受け入れ、最高裁が命じた200万円を上回る500万円を補償。判決には中絶手術のみを受けた原告はいなかったが、弁護団の要望や中絶手術の被害者からのヒアリングも踏まえ、一律200万円を支給することを決めた。
だが、課題も残された。
制度の周知もその一つだ。旧法下の不妊手術は約2万5千件。対して、被害者に一律320万円を支払う一時金支給法での認定は、千件程度にすぎない。
新しい補償制度で国は、これ…