インタビューに答える藤井克徳・日本障害者協議会代表=東京都

 旧優生保護法(1948~96年、旧法)下で不妊手術などを強いられた障害者らを対象とする補償金支給法が17日、施行されます。国の責任や謝罪などが明文化されましたが、課題もあります。長くこの問題に取り組んできた日本障害者協議会代表の藤井克徳さん(75)に聞きました。

 ――法の施行をどう受け止めていますか。

 ようやくここまで来たという万感の思いです。戦後最悪の人権侵害であり、障害者政策史上、最大の未決着問題である強制不妊手術に対して、当事者が勇気を持って提訴に踏み切ったことが、この日につながりました。改めて提訴した39人(うち8人が死亡)に敬意の念を抱き、最高裁判決の重みをかみしめています。

 ――「一時金支給法」が施行された2019年当時から、全面的に改正するべきだと主張されてきました。どのような点を評価していますか。

 国の責任と謝罪を明文化したことです。前文に、「国会及び政府は」として、優生上の見地からの誤った目的に関わる施策を推進したことについて「深刻にその責任を認めるとともに、心から深く謝罪する」と書き込まれました。

 被害者の配偶者や、手術痕が残らないため立証が難しいとされる人工妊娠中絶を受けた人も対象に加わった。被害者本人は、従来の「一時金」320万円に加え、「補償金」1500万円を受け取れるようになった。「人生被害」を補うに足りる補償を求めてきたことが考慮されたと思います。

 ――過ちを繰り返さないために不可欠だと指摘されてきた「検証」も盛り込まれました。

 検証は、過去の過ちを徹底して調べ評価すること、旧法と地続きの今ある問題にも焦点を当て未来に向けて提言することに意義があります。

■多くの「なぜ」 隔離収容政…

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