唐古・鍵遺跡から出土した船が描かれた絵画土器のレプリカ=奈良県田原本町の唐古・鍵考古学ミュージアム、塚本和人撮影

 国内最大級の弥生時代の環濠集落跡、唐古(からこ)・鍵(かぎ)遺跡(国史跡、奈良県田原本町)で生きた弥生人が、気候変動や自然災害にどう対応したのか――。そんなテーマに真正面から取り組むプロジェクトが、同町と山形大学の共同研究で始まっている。地球全体の気候を探る古気候学と地質学、考古学が著名な遺跡を舞台に連携する意欲的な試みだ。

 同町と山形大は共同研究協定を2024年に結び、白石哲也・山形大准教授(考古学)を代表に「唐古・鍵遺跡気候変動プロジェクト」を立ち上げた。国の科学研究費助成事業(科研費)の「『暴れる気候』と人類の過去・現在・未来」(領域代表=中川毅・立命館大教授)の一環だ。

 プロジェクトでは、福井県の水月湖と中米グアテマラのペテシュバトゥン湖の湖底にあるしま模様の泥の層「年縞(ねんこう)」を年代を測る「ものさし」として活用し、人類の活動を探っていく。年縞はしま模様の堆積(たいせき)物が1年に1層ずつ積み重なり、年縞に含まれる葉や花粉の化石などから当時の気候や環境が分かり、植物の種類の移り変わりから気候や環境の変動を年単位で知ることができる。また、水月湖の約7万年に及ぶ年縞は「年代測定の世界標準」ともされる。

プロジェクトは何を目指す

 唐古・鍵遺跡は奈良盆地中央…

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