太平洋が迫る高知県安芸市大山岬のそば屋「大山茶屋」に1匹の猫が現れる。
立ち上がって玄関の引き戸を開けて店内に入ってくるしぐさが、客の話題になっている。
その猫は1年半前から晴れた日に、店の前の駐車場や道路沿いで寝転がるようになった。
「ほっかむりをした泥棒のような顔をしていた」
そば屋を営む土居八千代さん(77)と長女の三崎優子さん(48)は鼠(ねずみ)小僧次郎吉にちなみ「太郎吉(たろきち)」と名付けて見守っていた。
今年春、太郎吉が店に入ってきた。
八千代さんは「戸が開いてたのかな」と思って気に留めず、すぐに太郎吉を外に連れ出した。
でも、太郎吉は毎日のように店に入って来た。
注意深く観察すると、引き戸…