空襲で殉職した栗田彰子教諭の慰霊碑に手を合わせる生徒たち=2024年6月28日午後2時17分、延岡市立延岡中学校、星乃勇介撮影
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 延岡市立延岡中学校で28日、先の大戦末期の「延岡空襲」で殉職した栗田彰子教諭(享年25)の慰霊祭があった。生徒や教職員が参列し、平和を願い、冥福を祈った。

 慰霊祭では、生徒が体育館に集まり、代表が読む「慰霊のことば」に耳を傾けた。その後、生徒会役員らが校門脇の慰霊碑に手を合わせ、深々と拝礼した。

 生徒会副会長の3年、日高美柚(みゆ)さん(14)は「生徒への愛情あふれる先生だったと聞いた。下級生に史実を伝えていきたい」と話した。

 栗田教諭はカナダ生まれ。高校を卒業後に来日し、母の実家がある延岡に住んだ。宮崎県女子師範学校を出た後、延岡中の前身の学校に勤めていたが、空襲の際、火を消そうとして防空壕(ごう)から外に出た時、焼夷(しょうい)弾が当たり、落命した。

 延岡空襲は1945年6月29日未明にあり、焼夷弾で市の中心部が焼け野原になった。総務省の記録では死者130人、被災戸数3765戸。前後の空襲も合わせると320人が亡くなった。(星乃勇介)

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