北海道函館市の津軽海峡・恵山岬沿岸でタンカーさんわ丸(3919トン、牧山司船長)が座礁し、燃料の重油の一部が流出した事故で、さんわ丸が座礁の危険を知らせる第1管区海上保安本部の連絡に応答せず、座礁寸前に「変針する」と応じたことが捜査関係者への取材でわかった。同船が陸に向かっていたことに気づいていなかった可能性があり、函館海上保安部は業務上過失往来危険容疑事件として当時の運航状況を調べている。
船舶の位置情報を提供する民間サイトによると、同船は津軽海峡に入って間もなくの6日午後6時頃、急に針路を陸に向けた。同25分頃に海岸から約20メートル付近で座礁したとみられる。
1管本部は座礁する危険を知らせるため、船舶無線や船舶自動識別装置(AIS)のメッセージで呼びかけたが、同船は応答しなかった。その後、船舶電話がつながり、「変針する」と応答があったが、間に合わずに座礁したという。
現場付近を航行中の別のタンカーからも6日午後6時20分頃、「さんわ丸が陸に向かっており座礁するおそれがある」との通報が1管本部にあった。
同船は6日午後1時20分頃に北海道苫小牧市の苫小牧港を出て、津軽海峡を通って秋田県男鹿市の船川港に向かう予定だった。