名選手の原石を数多く発掘してプロ野球の世界に導いてきた広島東洋カープの名物スカウト、苑田聡彦さん(現顧問)が、来年2月に迎える80歳の誕生日を機に球界から引退する。「いい選手は、心に残るものを見せてくれる。選手にほれる。それが、自分の考えとしてやってきた」
現役時代は右投げ右打ちの野手だった。勝負強い打撃と堅守で1975年、広島のセ・リーグ初優勝に貢献し、77年まで14年間プレーした。78年からスカウトになり、見いだした選手は数知れず。金本知憲さん、江藤智さん、丸佳浩選手(現巨人)など多くの名選手獲得に携わってきた。大リーグで活躍した黒田博樹投手も、無名の頃から注目し続けた。
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福岡県出身。三池工高時代は、同校と神奈川・東海大相模高の指導者として2度の甲子園優勝を果たす原貢監督のもとでプレーした。練習がない時には貢の長男で13歳年下の少年、辰徳さん(元巨人)の面倒も見た。
苑田さんが高校3年生の時はまだドラフト会議の開始前で、新人選手の獲得は各球団の自由競争だった。身長173センチながら長打力のある苑田さんを獲得しようと、地元の西鉄ライオンズなど9球団が動いていた。
そのなかで、苑田さんは契約…