全国で熊本県の八代海だけに出現する蜃気楼(しんきろう)の一種、「不知火(しらぬい)」。その研究を続けてきた県立宇土高校の科学部地学班がこの夏、地元漁協の協力を得て再現を試みる。地学班は昨年、屋内での再現実験に成功しており、発生条件を絞り込んだ。
不知火は、夏の終わり、旧暦8月1日の「八朔(はっさく)」の前後に現れる。いさり火が光源となり、光が横に連なって見えるのが特徴だ。
古くは日本書紀や万葉集、江戸時代には新井白石や賀茂真淵、本居宣長の著作にも記されており、八代海は不知火海とも呼ばれている。しかし、鮮明な写真は1988年9月、当時の不知火(しらぬひ)町(現・宇城(うき)市)で撮影されたのが最後だ。
地学班は「不知火はなぜ幻になったのか」という問題意識で研究を始めた。観望地として知られる宇城市不知火町の永尾(えいのお)剱(つるぎ)神社で過去6年間、観測を続けてきた。
昨年10月1日未明、12.…