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年金制度改革に向けた報告書をまとめた厚生労働省の年金部会

取材考記 くらし報道部・板垣哲也

 通常国会が始まった。少数与党のもと新年度予算案がどうなるのかが最大の焦点だが、さらに気がかりなのが年金制度改革の行方だ。

 昨年末、厚生労働省の年金部会がまとめた報告書では、短時間労働者への厚生年金の適用拡大や遺族厚生年金の男女差解消などの方向性が示された。ただ最大の懸案だった、基礎年金(国民年金)の底上げ策は、意見が集約できなかった。

 基礎年金の水準低下の影響は、年金額の少ない人ほど大きい。5年前の前回改正でも問題となり、与野党の賛成多数で成立した法律の付帯決議では、基礎年金の保険料拠出期間を今より5年延ばして、20歳から65歳になるまでの45年にする案が検討課題とされていた。

 だがこの案は、政府・与党が…

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