富寿神宝のX線CT画像=元興寺文化財研究所提供
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 平安時代に貨幣の鋳造所があった山口市の国史跡「周防鋳銭司跡」で、奈良・平安時代に日本で生産された12種類の「皇朝十二銭」の一つ「富寿神宝(ふじゅしんぽう)」が見つかった。この遺跡でこれまでに見つかった貨幣の中で最も古く、鋳造に失敗した「鋳損じ銭」ではない完成品が見つかるのは初めて。

 市が27日に発表した。見つかった富寿神宝は直径約23ミリ、厚さ1.5ミリ、重さ1.7グラム。818~834年に生産された。

 2023年10月、遺跡で採取した土を水の中でふるいにかけて細かな遺物を取り上げる作業をしているときに見つかった。銭貨の側面が平らで角が立ち、摩耗もないことから、研磨仕上げをした未使用の完成品と考えられるという。

 周防鋳銭司跡では市と山口大学が連携して17年度から発掘調査をしている。皇朝十二銭のうち8種類が生産され、「承和昌宝」「長年大宝」「饒益神宝」の鋳損じ銭が発見されている。

 周防鋳銭司は文献資料で82…

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