おぎの美術館に置かれた特大フレームと奈良女子大学の学生=2024年10月16日、奈良市二条大路南、平城宮跡アオハルプロジェクト提供

 奈良市の平城宮跡歴史公園で、秋の風物詩のオギが見ごろを迎え、太陽の光で銀色に輝く穂が風に揺れている。そんなオギ原に大学院生らがアート空間を作り、人気を博している。名付けて「おぎの美術館」。外来種による生態系の破壊防止にも一役買い、今年度のグッドデザイン賞に選ばれた。

 目の前に広がるオギ原にぽっかり空いた入り口。中へ入ると、視界は高さ3メートル近いオギに囲まれる。風でこすれ合うオギのそよぎに耳を傾けながら道を進むと、思わず入りたくなるようなオギで作られたオブジェを発見。この辺りに生息するカヤネズミの巣を人間サイズにしたものだ。

 見晴らし台もあり、朱雀門を背景に穂波の間を進む近鉄電車というこの公園ならではの景色も見渡せる。大阪府東大阪市から訪れた自営業の酒井進さん(47)は「夕日がきれいなので見に来たら、オギの中に入れると思わなくてびっくり。必要最低限で自然を生かした展示が良かった」と話した。

 おぎの美術館は、奈良女子大学の学生らと平城宮跡管理センターによる「平城宮跡アオハルプロジェクト」が主催する。2022年から始まり、3回目を迎えた今年は敷地を前回の約1.4倍に拡大。見晴らし台も巣のオブジェも今回の新企画だ。

 「平城宮跡に学生が放課後集…

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