朝日新聞の取材に応じる国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長=2024年12月11日、オスロ、藤原学思撮影

 日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)のノーベル平和賞授賞式があったノルウェーのオスロで11日朝、国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長が朝日新聞の単独取材に応じた。日本被団協の受賞について「現代と非常に関連性が高く、象徴的だ」と意義を語る一方、核兵器をめぐる緊張の高まりに懸念を示した。

  • 原爆「また起こるの?」、10歳娘は聞いた ノーベル委員長単独取材

 グロッシ氏は10日昼、授賞式に参列。だが、田中熙巳(てるみ)さんの演説中に緊急連絡があった。「IAEAの車両がドローン攻撃を受けた」。ロシア軍が占拠し、原子力事故の懸念が出ているウクライナ中南部のザポリージャ原発の点検要員交代のために移動している途中だったという。

 「祝福の場でありながら、危険性と不確実性に満ちた世界があると、現実を突きつけられた。私たちは非常に具体的で、差し迫った問題に対処しなければならない」

 ロシアはウクライナへの侵攻開始後にザポリージャ原発を占拠。同原発は度々攻撃を受けており、ロシアは「原発施設の武器化」「核の威嚇」と指摘される行動を続ける。グロッシ氏はこれまでに5回、同原発を訪問してきたという。

 「核の番人」であるIAEA…

共有
Exit mobile version