横幅わずか3メートルの5階建てビルがギャラリーとして大阪市北区にオープンした。4月に開幕する大阪・関西万博を見据え、東京に比べてギャラリーの少ない大阪、関西から前衛芸術を発信する場を目指す。
現代アートギャラリー「ICHION CONTEMPORARY」(イチオン・コンテンポラリー、上一音(じょういちおん)オーナー)。幅4メートルの敷地に地下1階、地上5階のエンピツビルを建てた。各階の壁や空間を利用して現代アートを展示する。
設計は大阪を拠点とする世界的建築家安藤忠雄さんの建築設計事務所が担当。打ち放しコンクリートでつくられ、最上階の5階は、斜めに設置された窓がせり上がる独自の構造になっている。
11日の内覧会であいさつした安藤さんは「敷地がこんなに狭いところでギャラリーができるのかと思ったが、(オーナーの)一音さんの熱意と情熱に負けてがんばってみようと思った。この小さい宝石箱を見て感激し、ここから日本だけでなく世界に飛び出していく(芸術家の)人たちが出てくるといい」と話した。
初期の代表作「住吉の長屋」に続く極小建築の意味について尋ねると、「外は小さいのに中は大きな(意味のある)もの、キラッと光るものができる」と語った。
13日からの一般公開で展覧会「GUTAIは生きていた」を開催し、戦後日本で誕生した革新的な美術運動「具体美術」に焦点を当てる。同運動を代表する作家でニューヨーク近代美術館などに作品が収蔵されている向井修二氏によるバイオリンを使ったインスタレーションやコレクション作品を展示する。内覧会では、インスタレーションのなかでバイオリニスト廣津留すみれさんによる演奏も開かれた。同展は3月29日まで。ギャラリー内が規定人数に達した際には、事前予約した人を優先する。