若森みどり・大阪公立大教授

 株や為替が乱高下し、影響が生活を直撃しています。生きづらさを抱えた人たちを、市場の激しい変動から守るには、何が必要なのでしょうか。経済思想史を研究する若森みどりさんに、「大転換」などの著書で知られる経済学者カール・ポランニーの思想を手がかりに、考えてもらいました。

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 いまの不安定な市場経済を考える上で、大きな指針になるのは、20世紀の激動の時代に生きたハンガリー出身の経済学者カール・ポランニーの思想です。

 ポランニーは、資本主義や市場経済の本質は、収奪のシステムだと考えました。その中では、あらゆる人や国が債権・債務関係に組み込まれて、階層構造になっています。周辺の人や国から富が収奪され、中心に集まっていく構造です。

 経済危機は、市場経済の中心…

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