日比野容子・京都総局記者
市民が市バスに乗れない――。これが、京都のオーバーツーリズムを象徴する問題だ。
京都駅や東山地域の乗り場は長蛇の列。超満員のバスを何台か見送って初めて乗れることも珍しくない。「バス通勤が嫌になり、観光客で混む東山から引っ越した」。地元テレビの取材にこう述べた人もいた。
- 観光公害で市民がバスに乗れない京都、平気なウィーン 違いはどこに
観光公害に苦しむイタリア・ベネチアは入島税の徴収を始め、スペイン・バルセロナは新たなホテル建設を禁じた。世界の潮流は観光客の「総量規制」なのだが、京都市にその考えはない。
「早朝観光はいかが」「祇園や清水寺以外にも見どころはありますよ」。掲げる対策は、時間や場所をずらす「分散化」。
その心は、「もっともっと、おこしやす」なのである。
だとすれば、それに見合った…