清水寺などへ向かう市バス乗り場には常に行列ができていた=2024年5月25日午前10時43分、JR京都駅前、武井風花撮影
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日比野容子・京都総局記者

 市民が市バスに乗れない――。これが、京都のオーバーツーリズムを象徴する問題だ。

 京都駅や東山地域の乗り場は長蛇の列。超満員のバスを何台か見送って初めて乗れることも珍しくない。「バス通勤が嫌になり、観光客で混む東山から引っ越した」。地元テレビの取材にこう述べた人もいた。

  • 観光公害で市民がバスに乗れない京都、平気なウィーン 違いはどこに

 観光公害に苦しむイタリア・ベネチアは入島税の徴収を始め、スペイン・バルセロナは新たなホテル建設を禁じた。世界の潮流は観光客の「総量規制」なのだが、京都市にその考えはない。

 「早朝観光はいかが」「祇園や清水寺以外にも見どころはありますよ」。掲げる対策は、時間や場所をずらす「分散化」。

 その心は、「もっともっと、おこしやす」なのである。

 だとすれば、それに見合った…

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