配車サービスに利用されている、インドのタタ・モーターズの電気自動車(中央)=2024年12月6日、ニューデリー、伊藤弘毅撮影

 14億の人口を抱える巨大市場インドで、電気自動車(EV)を売り込もうと内外各社が競い合っている。外資では米テスラが新規参入の動きを見せ、日系なども相次ぎ新製品を発表。先行する地元勢を追い、将来の販売拡大に布石を打とうとしている。

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 米ブルームバーグ通信は20日、関係者の話として、テスラがインド進出の準備を進めていると報じた。数カ月以内に数千台を輸入し、首都ニューデリーや商都ムンバイ、多くのIT企業が拠点を置く南部ベンガルール(バンガロール)で、今年7~9月ごろから販売を始める予定。すでに販売店向けなどの人員の採用にも乗り出したという。

 13日に行われたトランプ大統領とモディ首相の首脳会談を受け、米印両国は新たな貿易体制の構築に向けて今後協議を進める。テスラは米国や中国などに工場を持つ。インドでの販売車種や輸出拠点は、両国間の通商交渉や、インドのEVに対する関税引き下げの状況を見て判断することになりそうだ。

シェア首位のスズキもEV公開「数カ月以内に……」

 人口で世界最大となり、なお成長途上にあるインド。大きな伸びしろを持つ自動車市場で、今後競り合いが激しくなりそうなのがEVだ。

 ニューデリー近郊で1月に開かれた国際自動車ショー「バーラト・モビリティー・グローバル・エキスポ」。同国の乗用車市場でシェア首位のスズキは、同社初となるEV「eVITARA(イービターラ)」を公開した。小型のスポーツ用多目的車(SUV)で、今年夏ごろの発売を見込む。

 登壇した鈴木俊宏社長は「数カ月以内に(インド西部)グジャラート州の工場で生産を開始し、欧州や日本を含む100カ国以上に輸出していく」と述べた。

 新車販売でシェア2位の現代自動車(韓国)も、小型SUV「CRETA(クレタ)」のEVをお披露目した。

 ただ、現時点でリードしているのは地元勢だ。メーカー別では、EVのシェアトップは地元財閥系のタタ・モーターズで、新車販売の約6割を占める。自家用に加え、配車サービスなどの需要を捉えた。

 一方、東南アジアなどで急激にシェアを高めている中国勢の勢いはさほどでもない。インド政府が、国境問題を抱える中国からの投資を事実上制限しているためだ。インド企業との合弁の現地子会社を持つ上海汽車集団傘下のMGモーターが、じわりと存在感を示してはいるものの、急激な販売の伸びは当面望めそうにない。

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