南海トラフ地震と首都直下地震で震度6弱~7が想定される28都府県の856市区町村に、使用目的のない木造の「放置空き家」が少なくとも約145万戸あり、4分の1に腐朽や破損があることが朝日新聞の分析で分かった。元日の能登半島地震では、空き家が倒壊し、救助や復興の妨げとなるリスクが顕在化したが、今後、巨大地震が想定される地域も同様のリスクを抱えている実態が明らかになった。
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総務省の「住宅・土地統計調査」(2023年10月時点)と内閣府の想定震度データを分析した。
元日の地震では石川県内で約9万9千棟(12月17日時点)の住宅被害があった。そのほか、被害が大きい輪島市と珠洲市の木造の放置空き家率はともに約22%と、全国平均(4.5%)を上回り、倒壊した空き家が道路を防いだり、所有者が分からず撤去できなかったりするケースも相次いだ。
今回は南海トラフ地震や首都直下地震で震度6弱~7が想定される全国の856市区町村のうち、住宅の統計データがない人口1万5千人未満の町村を除く658市区町村を分析の対象とした。
対象の自治体は北関東から九州に広がり、総住宅数は約4230万戸あった。うち、賃貸用や別荘などを除いた使用目的のない木造の「放置空き家」は約144万5千戸(全体の約3%)で、うち9割が戸建て。壁や基礎にひびが入るなどの「腐朽・破損」があるとされたのは約36万4千戸にのぼった。
能登の被災地、災害時の空き家リスク
国土交通省の19年の別の調…