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人間の病気を引き起こす可能性のある微生物が日本上空で採取した空気から見つかった。サンプル採取のためのフライトは10回おこなわれた=Rodó/ニューヨーク・タイムズ

10,000 Feet Up, Scientists Found Hundreds of Airborne Germs

 生命体を見つけようとするなら、上空は有望な場所ではなさそうに思える。しかし、科学者たちは1920年代に米国各地の空に飛行機を飛ばし、浮遊する胞子を採取していた。

 1世紀後の今、上空は依然として、かなり謎に包まれたままだ。研究者たちは、日本の上空1万フィート(3000メートル)を飛行中に細菌類[bacteria]や菌類[fungi]を何百種も採取した、と9月9日に報告した。これらの微生物は、採取されるまでに1200マイル(1900キロ)以上を飛んできた、と研究チームは推定している。しかも、人間の病気を引き起こすかもしれない種類のものが含まれていた。

 「細菌類は3分の1、菌類はもう少しだけ多い割合のものが、ヒトにとっては病原体となりうる」。研究を主導したスペイン・バルセロナの世界保健研究所(ISGlobal)の計算生態学者[computational ecologist]シャビエル・ロドー氏は語る。

 今回の新たな研究で、微生物が地表まで落ちてきたときに病気の流行を引き起こす直接的な証拠が示されたわけではない、とロドー博士は釘を刺す。だが、病気の流行を風が助長している可能性は示唆された、と主張している。「これは注目に値する」とロドー氏は語った。

 上空での採取というアイデアは、原因不明の病気「川崎病」に関するロドー氏のこれまでの研究に端を発している。川崎病は、発熱、発疹、時に致命的な心臓発作を引き起こす。病原体によるものか、免疫系の不具合によるものか、あるいはその両方が原因なのか、研究者たちが長い間、議論してきた。

  • 【注目記事を翻訳】連載「NYTから読み解く世界」

NYTの報道によると、上空3000メートルで見つかった微生物は、中国大陸からの風に乗って運ばれてきた可能性が高いようです。しかも、その風が吹くと、日本や米国で川崎病の報告が増えるそうです。

 川崎病の症例報告数には、波…

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