発掘調査の様子=松江市鹿島町北講武、島根県古代文化センター提供

 島根県古代文化センターは19日、松江市鹿島町北講武で全長約68メートルの前方後円墳を確認したと発表した。島根半島最大で、古墳時代前期の4世紀ごろの築造と推定される。海上交通の拠点を押さえ、大和王権との関わりを持つ人物の墓の可能性もあるという。

 確認されたのは市指定史跡の堀部1号墳。突出部の「造り出し」が付いた円墳(全長45・5メートル)とされてきたが、2023年度の測量調査で前方後円墳の可能性が高まり、今年10月からの発掘調査で前方部の盛り土を確認。旧美保関町(現松江市)から旧大社町(現出雲市)に至る島根半島で最大の前方後円墳と判明した。

 築造時期を特定できる遺物は見つかっていないが、埴輪(はにわ)がないことから古墳時代前期の可能性があるという。墳頂部では棺を納めるために掘った穴を確認し、赤色顔料をすりつぶしたとみられる石杵(いしぎね)が出土した。古墳は木々に覆われている。

 吉松優希主任研究員は「鹿島地域を含めた出雲の古墳時代前期の社会を考える重要な手がかりを得ることができた。大和王権との関係などを知るうえで大事な古墳」と話した。

 これまでの島根半島最大の前方後円墳は全長約52メートルの大寺古墳(出雲市東林木町)。県内最大は全長約96メートルのスクモ塚古墳(益田市)。(垣花昌弘)

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