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第6回島田賞に選んだ3冊を持つ島田優紀さん=2024年12月18日午後2時33分、島根県出雲市高岡町、中川史撮影
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 島根県大田市在住の書店員で、独自の文学賞「島田賞」を2020年から発表し続けている島田優紀さんが、第6回受賞作に長編、短編、翻訳小説の3部門各1冊を選んだ。勤務する店が昨年、同県出雲市内に変わったが、「毎年、発表を楽しみにして下さった方もいて、今回の受賞作もお伝えしたい」という。

 選んだのは長編が①「イグアナの花園」(上畠菜緒)、短編が②「魂婚心中」(芦沢央)、翻訳が③「ウェイワードの魔女たち」(エミリア・ハート/訳・府川由美恵)。

 島田さんによると、①は「他者との関わりの中で自分のこともわかる」という内容のファンタジー。②は「激しい描写で人間の本質を突いたミステリー」。③からは、フェミニズムを背景に「生きづらい世界を自分らしく生きて」といったメッセージを感じるという。

 島田賞は大田市内の書店で始めたが、店は昨年3月に閉店。現在は出雲市内の今井書店出雲店に勤務する。第1回に選んだ『透明な夜の香り』の著者、千早茜さんが2023年1月、石見銀山を題材にした「しろがねの葉」で直木賞を受賞したことで、島田さんの「高感度」が太鼓判を押される形になった。第4回まで1冊ずつ選んでいたが、閉店に際して第5回は3冊にしたことから第6回も3冊にした。

 担当分野は文芸だが、ほかにエンタメも任されている島田さん。「読むスピードは遅いんです」。それでも小説だけで年間60冊ほど、ほかにノンフィクションや絵本、漫画など乱読するという。

 店では島田賞の特設コーナーを設け、過去の受賞作にも「島田賞」の帯を付けて並べている。問い合わせは、今井書店出雲店(0853・22・8181)へ。

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