岩手山ではなく、別の山の画像を使ったマンションのチラシ
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 「岩手山ビュー」をうたった新築マンションの投函(とうかん)チラシに、青森・岩木山の画像が使われていた。景観をめぐり、地域住民が異議を唱えている物件で、盛岡市は「市民の心証を害するもの」と抗議。内舘茂市長はSNSに「一層の慎重さをもって、市民感情に寄り添う配慮を」と書き込んだ。

 画像の取り違いがあったのは、古い街並みが残る盛岡市紺屋町に計画されている14階建ての高層マンション「レーベン盛岡紺屋町」。タカラレーベン(東京)が手がけている。同社はホームページ(HP)上に「おわび」を掲載した。市内などに約7万部配布されたチラシには「中津川&岩手山ビューと圧倒的な開放感を愉しむ」とうたっていた。

 SNS上にも市民から投稿が相次いだ。「土地そのものに対して敬意も思い入れもない」「岩手山じゃなくて青森の岩木山。しかも裏焼きってどういうつもりで作ったの」「こんなでっかい山を間違えるというあまりの愛のなさキツすぎる」「青森の人にも失礼」などのメッセージが並んだ。

 地域住民らでつくる「紺屋町まちづくりの会」は「景観への配慮」をタカラレーベンに要望。これまでに4回の交渉を重ねたが、「街並みに合う外壁や和風の意匠への要望について納得感が得られない」としている。

 18日にチラシを確認した市景観政策課の三橋一仁課長は「市は岩手山眺望を最も大事にすべき景観政策としています」「御社は『盛岡市のシンボルである岩手山の眺望をマンション住民に享受していただくため』『市の景観に沿う形で』などと発言していた」と前置きした上で、「市民が大切にしている部分をもう少しだけ配慮していただきたい」と要望した。

 同社は「別の山の画像を誤って使用してしまい、山の形状が大きく異なっておりました」とHPに掲載。タカラレーベン東北支店は「チェック態勢がとれていなかった。チラシを見たことで憤慨させたり、不快な思いにさせたりしたことは大変申し訳なく思っています」と謝罪した。

 まちづくりの会の高橋大さんは「こういうことをする会社と交渉していたのかと思うと、モチベーションがあがらない」と話した。(佐藤善一)

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