写真・図版
岩崎加根子(手前)と斉藤淳

 来年4月、東京・六本木の俳優座劇場が閉館する。ここを長く拠点としてきた劇団俳優座にとって、11月開幕の東憲司翻案・上演台本・演出「慟哭(どうこく)のリア」は、この劇場では最後となる公演だ。1954年の開場以来、劇場と共に俳優人生を歩んできた岩崎加根子が主演する。

 「私という『道具』を使って、脚本の中の人間を作っていく――。芝居をやる時は、いつもそう思っています」と岩崎。

 シェークスピアの戯曲を、明治期の日本を舞台に大胆に翻案した物語。岩崎演じるセイは、一代で地位を築いた炭鉱経営者だ。引退し、炭鉱を軍に譲ると決めるが、3人の息子たちは反対。人々の欲望がうごめき出す。

初代の俳優座劇場での最後の劇団公演でも主演していた、岩崎加根子さん。後半では、当時のお話もうかがいました。

 「子どもたちに良かれと思っ…

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