上告しないと表明した左から原告の近藤ゆり子さん、弁護団の山田秀樹団長、小林明人事務局長=2024年9月27日、岐阜県大垣市、伊藤智章撮影

 岐阜県大垣市で計画された風力発電施設の建設をめぐり、県警大垣署が住民の個人情報を収集し、業者に提供したのは違法などとした名古屋高裁の控訴審判決を受け、原告弁護団は27日、判決を受け入れ、上告しないと表明した。

 この日は、原告の上告期限だった。判決が送達された県の上告期限は10月2日。

 控訴審判決は警察の情報提供に加え、収集や保有も違法とし、請求通り4人に計440万円の損害賠償や県が保有すると認められる情報の抹消も命じた。

 同県大垣市で会見した弁護団の山田秀樹団長は「望みうる最高の判決」と、上告しない理由を述べた。国への情報抹消請求は棄却されているが、これも上告しない方針。同席した原告の一人、近藤ゆり子さん(75)は「こちらから上告して、判決をぐちゃぐちゃにしたくない」と話した。

 原告は、全面的に主張が退けられた県の対応に注目。弁護団の小林明人事務局長は「県が上告しても最高裁は法解釈を争うだけ。高裁判決の事実認定はもう動かせない」と語った。

 原告は県が上告を断念した場合、判決が命じた情報の抹消などをめぐり、県警に協議を申し入れる方針。また判決でも指摘された公安警察の情報収集を規制する立法についても、問題提起していきたいとしている。(伊藤智章)

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