ライン際でシャトルに飛びつく山口茜=2024年8月25日午後4時11分、横浜アリーナ、吉田耕一郎撮影

 〈25日、バドミントン ダイハツ・ジャパン・オープン 女子シングルス決勝 山口茜2―0ブサナン・オンバムルンパン(タイ)〉

 山口茜はプレーの合間に何度も笑みを浮かべた。

 「楽しく、リラックスしてやれた」

  • 「勇気づける」のはやめた 山口茜が大事にした6歳の原点とお守り

 会場の「茜」コールに押されながら、積極的に攻めた。

 コースを狙ったスマッシュや、ネット際に球を落とすショットを巧みに打ち分けた。「ずっと主導権を握りながら、前向きにプレーできた」。一度もリードを許すことなく、43分で完勝した。

 3大会連続の8強で終わったパリ五輪の後、体を休めた。練習を再開したのは大会の1週間前。「1回戦で負けてもおかしくなかった」。試合を重ねながら調子を上げていった。パリ五輪金メダルの安洗塋(韓国)ら複数のトップ選手が不在の中で、元世界女王の地力を示して勝ち上がった。

 この大会では16歳だった2013年に初優勝し、世界への扉を開いた。それから11年。第一線で戦い続けてつかんだ4度目の栄冠だ。

 「年齢も、バドミントン界でのポジションも変わってきている。その中でも、変わらずに楽しみたいという気持ちでプレーできている。うまくいかない時期も乗り越えて成長できていると思う」

 今後の長期的な目標は決まっていない。「自分の気持ちと向き合い中。正直、来年についてもわからない」。いま、27歳の頭にあるのは「楽しむ」こと。原点をもう一度、追求していく。(岩佐友)

共有
Exit mobile version