学校の要望を踏まえてつくられたオリジナルの屋外水飲み場=さいたま市立三室小学校、市水道局提供

 学校にある屋外水飲み場で子どもたちに水をおいしく飲んでもらう取り組みを、さいたま市が進めている。浄水場からの水を受水槽を通さずに蛇口へ直接給水する方法で、すでに市内の小中学校と中等教育学校の8割以上で導入されている。

 市の「水道事業長期構想」に基づき、水道局と教育委員会の連携で2012年度に始まった。各年度10校程度で工事が進み、全160校のうち130校以上で完了した。2030年度までに全校で完了、または着工する見通しだ。

 従来は、浄水場からの水を各校で受水槽にため、そこから屋外水飲み場の蛇口に給水していた。水道局給水装置課によると、週末や特に夏休み期間中などは登校する子どもたちの人数が少なく、使用量も減る。このため、水が受水槽に残って「ぬるま湯」状態になったり、消毒効果がある残留塩素が減ったりして、品質が落ちることがあったという。

 子どもたちに新鮮で冷たい水を飲んでもらうための方策を協議した結果、同構想と市教委の「学校施設リフレッシュ基本計画」を活用し、事業に着手することにした。水道局で担当した104校分の工事は、計約20億4千万円をかけて今年度で終了。残りの工事は市教委の予算で賄われる。

 これまでは受水槽にあるポンプが故障すると、蛇口に水が届かなくなっていたが、直接給水により、こうした問題は解消される。

 各校の受水槽には災害時にそなえて水をためておく役割もあるが、同課は「各校には災害用の貯水タンクもある。直接給水に切り替えても災害時の対応に問題はない」と説明している。

 工事を終えた学校の児童や生徒への23年度のアンケートでは、「冷たくなったので屋外水飲み場でよく水を飲むようになった」「水道水がおいしく感じられるようになった」などの声が寄せられたという。政令指定市ではほかに、横浜市の市立学校で同様の取り組みがされている。

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