世界自然遺産の屋久島(鹿児島県)には、まるでミニチュアのように、ほかの地域と比べて極端に小さい植物群がある。その数は80種以上と言われ、土壌の栄養不足や低温、日照不足などの様々な説が唱えられてきたが、理由ははっきりしない。このなぞを解き明かそうと、東北大の高橋大樹特任助教や京都大の阪口翔太助教らの研究チームが挑んだ。
茎や葉の長さが5センチにも満たない植物のミニチュア化は、砂漠や北極圏、高山帯ではよく知られた現象だ。小型化することで、厳しい環境ストレスを減らせるからだ。例えば、高山帯の一部の植物は、強風や低温、凍結・乾燥にさらされ、生育期間も短いため、平地の同じ種よりも小型化しているのがよく見られる。
屋久島は島の2割が世界自然遺産に指定され、生物多様性が豊かな日本有数のスポット。標高1600メートル以上に80種近くの「ミニチュア植物」が見られる。一方、雨が多くて気温が低いほか、島の大部分が花崗岩(かこうがん)でできており、土壌の栄養は恵まれていない。気象条件や土壌の栄養不足が原因ではないかと古くから考えられていた。
研究チームが注目したのは…