【動画】ビオトープで生まれたウスバキトンボたち=後藤たづ子、神崎卓征撮影
台風が九州を通過した直後の深夜、強い吹き返しの風に揺れる草にしがみつくトンボがいた。
羽化してたての体で、背中側でまだくっついた状態の羽が右に左にと大きく揺さぶられていた。
あのトンボは無事、羽を広げて飛び立つことができたのだろうか。
翌日の昼間、気になって見にいくと、風が治まって揺れなくなった草の間に、半透明色のヤゴの抜け殻だけがぶら下がっていた。トンボは無事、大空に上がったようだ。
ここは、4階建てビルの屋上。トンボが羽化した草むらは、0.7メートル×1.2メートルほどのコンテナの中にある。朝日新聞宮崎総局のこの小さな「湿地帯ビオトープ」では、夏からこれまでの間にもう数十匹のトンボが旅立っていった。
最初に1センチほどのヤゴがいるのに気づいたのは、ビオトープをつくって1カ月少し経った7月半ば。水の中をのぞくと縁の下の壁にへばりついていた。
さらに数日後に屋上に上がると、1.5センチほどに大きくなったヤゴたちも発見。まだ5ミリにもみたないものたちも現れた。
大淀川学習館(宮崎市下北方町)の昆虫担当でトンボにも詳しい日高謙次さんに写真を送って確認してもらうと、ウスバキトンボのヤゴだった。
ウスバキトンボは、大淀川下…