完成したヘッドホン=2025年3月5日、片品村役場、星井麻紀撮影

 尾瀬国立公園で使われた木道を再利用したヘッドホンが完成し、5日、群馬県片品村で発表会があった。公園内では毎年、木道の付け替えで大量の廃材が生まれていることを知った高崎市の作曲家で音楽プロデューサー、多胡邦夫さん(51)が取り組んだ。尾瀬の自然環境に関心を持ってもらいたいとの願いを込めたという。

 尾瀬国立公園には約65キロの木道がある。厳しい気候条件のため傷みが早く、10年に1度ほどのペースで更新が必要だ。約20キロを管理する東京電力の子会社「東京パワーテクノロジー」(TPT)では、1年に1~1・5キロほどを取り換え、約半分を紙として再利用する以外は廃棄物として処理してきた。

 廃材を使ったヘッドホン開発を続けている多胡さんは、「尾瀬は自然保護運動の発祥地。処分されるのはもったいない」と、2021年に製造に着手。TPTから木道として使われた4メートルのカラマツ材20本を譲り受け、傷みが少ない部分を削り出してハウジング(耳を覆う部分)に加工した。本体部分は、プロのミュージシャンにも愛用者が多い多胡さんが開発したヘッドホンを使っている。

 多胡さんによると、広葉樹の…

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