配管が張り巡らされた工場でゆっくりと移動する、熱を帯びた真っ赤な物体。レトルトと呼ばれるステンレス製の反応容器で直径約2メートル、高さ約5メートル。不純物を取り除いた四塩化チタンと900度に熱したマグネシウムを床下の炉で10日以上かけて反応させ、航空機部材などに使われるスポンジチタンを作る。大阪チタニウムテクノロジーズ(兵庫県尼崎市)では、一回で最大13トンを生産。取り出されたスポンジチタンは細かく砕かれ、国内外の加工メーカーに出荷される。
スポンジチタンは展伸材(棒状や板状などに加工された金属)の元になるチタンのことで、鉄に比べて重量が6割、かつ強度が2倍あるとされ、軽さを求める航空機向けの需要が多い。ただ、一般向けと比べて特に高い品質を要求される航空機向けのスポンジチタンを製造できる会社は世界で数社に限られる。
同社は航空機のエンジンの回転体内部にある圧縮機(空気を圧縮して酸素濃度を高め、効率的に燃料を燃やすための装置)に使われる高品質なものを作っており、2020年には世界のニッチ市場で活躍する企業を選ぶ経済産業省の「グローバルニッチトップ企業100選」にも選ばれた。
一般社団法人日本チタン協会…