2025年1月15日、ソウル近郊の拘置所に移送される尹錫悦大統領(中央)。聯合ニュース提供=ロイター

 韓国のソウル西部地裁は19日、内乱容疑で拘束されている韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領に対する逮捕状を発付した。合同捜査本部に加わる高位公職者犯罪捜査庁(公捜庁)が明らかにした。尹氏は逮捕されて引き続き拘束状態で取り調べを受けることになる。現職大統領の逮捕は初めて。

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 公捜庁によると、逮捕状は19日午前2時50分ごろに発付された。証拠隠滅の懸念があるためだという。複数の韓国メディアは尹氏が逮捕されたと報じたが、19日午前6時半(日本時間同)の時点で逮捕状執行について公捜庁からの正式な発表はない。

 公捜庁は内乱の首謀と職権乱用の容疑で17日に同地裁に逮捕状を請求していた。犯罪の重大性と再犯の恐れを考慮して請求したとしている。

 18日午後に逮捕状を出すかどうかの令状審査が同地裁で開かれ、尹氏本人も出席した。逮捕状の不当性を訴え、棄却を求めたとみられる。

 尹氏はソウル拘置所から護送車で同地裁に到着した。午後2時から始まった審査は同7時前に終了。尹氏の弁護団によると、公捜庁側が逮捕の必要性を主張し、弁護団が反論した後、尹氏も40分以上にわたり発言した。弁護団は「(尹氏は)事実関係や証拠関係、法理問題について誠実に説明した」としている。

 15日に拘束された尹氏は、同日の取り調べで供述を拒否し、16日以降は取り調べ自体に応じないなど、徹底的に争う構えを示してきた。

 尹氏の令状審査への出席について、弁護団は「非常戒厳の正当性と内乱罪が成立しないことを直接説明し、名誉を回復させなければならないという気持ちからだ」と説明していた。

 尹氏側は昨年12月の非常戒厳の宣布について、司法審査の対象にならない「統治行為」で内乱罪は成立しないと主張してきた。また公捜庁には内乱罪の捜査権がなく、管轄ではないソウル西部地裁から拘束令状の発付を受けたことも違法だとしており、こうした主張を繰り返したとみられる。

 さらに、証拠隠滅や逃亡の恐れもないとし、拘束を続ける必要はないと訴えたとみられる。

 だが、裁判所は引き続き身柄を拘束して調べる必要があると判断した。15日の拘束時から数えて原則として最長20日間、拘束されることになる。

 韓国メディアによると、尹氏への逮捕状発付を知った尹氏の支持者らがソウル西部地裁の敷地内に侵入。消火器などで建物のガラスを割るなどの暴動を起こしたが、その後、警察に拘束されたという。

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