ソウルの憲法裁判所で2025年1月21日、弾劾審判に出廷した尹錫悦大統領(中央)=東亜日報提供

 韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が昨年12月に「非常戒厳」を出した際、特定のメディアなどを封鎖して電気や水の供給を遮断するよう李祥敏(イサンミン)前行政安全相に指示していたと、内乱罪で起訴されている尹大統領の起訴状に記載されていることが3日、分かった。

 起訴状によると、尹大統領は非常戒厳の宣布に前後して大統領執務室に一緒にいた李前行政安全相に対し、新聞や放送、世論調査機関など計五つを封鎖し、「断電、断水」するよう指示する文書を見せた。これを受けて李前行政安全相は布告令が出た後に消防庁長に電話し、警察から「断電、断水」への協力要請が来たら対応するよう指示した。

 韓国メディアによると、この五つは、いずれも保守系の政権に批判的な進歩(革新)的傾向だという。

 また、起訴状には非常戒厳を昨年12月3日に出す2日前の1日に、尹大統領が金竜顕(キムヨンヒョン)前国防相と、非常戒厳の際に投入する兵力の規模を議論した状況も盛り込まれた。

 尹大統領が幹部を中心に投入する場合の人員を尋ねると、金前国防相は「約1千人未満」と答え、尹大統領は「その程度の兵力なら国会と選挙管理委員会に投入すればいい」と話したという。

 内乱を首謀した罪で起訴された尹大統領の刑事裁判は、今月20日に初の公判準備期日が指定された。

 国会で弾劾(だんがい)訴追された尹氏の罷免(ひめん)の可否を判断する憲法裁判所での弾劾審判も、4日から週2回のペースで再開される。

 国会から議員らを引きずり出すよう尹大統領から指示されたなどとされる当時の軍幹部らが証人として出廷する予定だ。尹大統領はこうした指示を否定しており、証言が注目される。

共有
Exit mobile version