父親と手話で会話する原告の中学生=2024年5月11日、札幌市、上保晃平撮影
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 幼い時から使ってきた手話で授業を受けられず、学習権を侵害されたとして、聴覚障害がある北海道札幌聾(ろう)学校の小学生ら2人が道に各550万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、札幌地裁は24日、原告側の請求を棄却した。

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 訴訟で原告側は、手話には、独自の文法体系を持ち、手の形や動き、顔の表情などを組み合わせる「日本手話」と、日本語の文法に合わせて単語と手の動きを対応させる「日本語対応手話」があると主張した。

 その上で、日本手話での授業を「学校が約束していた」のに、日本手話のできない担任教諭を配置したのは違法だとし、「日本手話を第1言語とする言語的少数者への差別だ」と訴えていた。

 一方、被告の道側は、教職員の配置は人事施策の観点から決めるべきもので、担任教諭の配置について不法行為は成立しないと反論。日本手話で教育を受ける権利は憲法や法令から導き出せず、原告側の請求は「公教育制度の範囲を大きく逸脱する過剰な要求」だとし、訴えを退けるよう求めていた。(上保晃平)

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