朝日アマチュア将棋名人戦北関東ブロック大会に出場した阪本駿さん(右)=2024年12月15日、茨城県桜川市、日本将棋連盟茨城県西支部提供

 家庭の事情で大学を退学し、将棋への情熱も失った会社員阪本駿さん(25)=栃木県那須塩原市=が、5年半の空白を経て、全国大会出場にあと一歩の健闘を見せた。まだ駒を持つことに迷いがないわけではない。それでも、家族や仲間の期待を感じながら新年度に向けた準備を始めている。

 昨年12月に茨城県桜川市で開催された、朝日アマチュア将棋名人戦北関東ブロック大会(朝日新聞社主催)。決勝で敗れた阪本さんは、帰りの車の中で涙があふれた。そのとき、気がついた。「悔しいという感情をまだ自分が持っている。そのことに、ちょっと喜びを感じた」

 決勝の相手は、プロ養成機関「奨励会」の最上位・三段を経験し、昨年のアマ竜王戦で全国2位となった実力者だった。「力の差はあったけれど、思ったよりうまく指せた」。今の将棋に欠かせないAI(人工知能)研究は、11月の県大会後に始めたばかり。しかし、食らいつくことができた。

 5歳のとき、県内有数のアマ棋士だった父和人さんの影響で将棋を始めた。那須塩原市立三島中学校2年時にアマ将棋の主要タイトル戦の一つ、赤旗名人戦で全国8強入り。文星芸術大学付属高校(宇都宮市)2年時には全国高校総合文化祭の団体戦で優勝を果たした。高い実績を評価され、強豪の立命館大学に推薦で入学した。

実家に戻って就職

 だが、1年で実家に戻った…

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