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会計検査院=2024年9月17日午前10時44分、東京都千代田区、座小田英史撮影

 新型コロナウイルスにより所得が減少した生活困窮者に最大200万円を無利子で貸し付ける「コロナ特例貸付金」について、会計検査院が調べたところ、制度の対象外の生活保護受給者に約14億円が貸し付けられていた。検査院は早急な改善を求めている。

 厚生労働省は、低所得者や高齢者などの世帯が安定した生活が送れるよう、低金利で融資する「生活福祉資金貸付制度」を実施している。コロナ禍の2020~22年には制度を拡充。コロナ特定貸付金と呼ばれ、生活費が減った世帯を対象に無利子で382万件、総額1兆4431億円を貸し付けた。

 貸し付けは各都道府県の社会福祉協議会が担当。コロナ禍でスピードが重視されて条件が緩和され、借り入れの際の面接や自立支援のための計画作成が不要とされた。

 生活保護受給者は既に国から支援を受けているとして、同貸付金では対象外となる。検査院が東京都や大阪府など16都府県の状況を調べたところ、4428件、計約14億円について、対象外の生活保護受給者が受けていた。確認体制が整備されていなかったという。

 同貸付金では、返済を免除された貸付者や滞納者には戸別訪問などをして生活再建のフォローアップ支援を行う仕組みだったが、検査院によると14都府県で返済が免除・滞納された134万件、貸付額計3021億円については、支援体制が十分に整備されていなかった。検査院は早急にフォローアップ体制を整えるよう求めている。

 厚労省は「指摘を受け、早急に改善したい」としている。(座小田英史)

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