インタビューに応じる富野由悠季さん=2024年4月15日、東京都杉並区、市野塊撮影
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 「機動戦士ガンダム」をはじめ、巨大な人型ロボットが活躍する作品を数多く手がけてきた映画監督・原作者の富野由悠季(よしゆき)さん(82)。技術を扱う工学者や政治家の「不見識」にこの年になって気づいたと言います。

 ――ガンダムではモビルスーツと呼ばれる人型のロボットが登場します。人型の意味は何ですか。

 宇宙空間で作業する想定で、遠くからでも仲間が見た時に、同じ人型だったら安心します。宇宙空間は360度全てに「底」が無い。落ちていく恐怖感、高所恐怖症に近い不安を感じるでしょう。そんな時に人間と同型が目に入れば、共感が生まれて精神安定剤になると考えました。

 ――アニメとしては巨大な人型ロボットには格好良さがあります。

 宇宙で遭難しても1週間ぐらい生存できる機能を持たせるには、あの大きさが必要でした。地球でも動くシーンがありますが、重力を考えれば、基本的に不可能だと理解しています。アニメはおもちゃ屋がスポンサーなので、その要求に応えました。子どもたちが驚くだろうと、あれほど大きな巨体が地球でジャンプするシーンを採用していきました。

全ての技術は軍事転用できうる 問われるべきは…

 ――ガンダムは兵器でもあります。ロボット技術の軍事利用について懸念は持っていますか。

 技術が進めば、軍事利用が出…

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