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東京高裁の前で「逆転勝訴」の旗を掲げる弁護団や遺族たち=2024年9月19日午後2時5分、東京・霞が関、杜宇萱撮影
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 家政婦と介護ヘルパーを兼ねて住み込みで働いていた60代女性の急死は長時間労働が原因だとして、遺族が国を相手に、労災の遺族補償などの不支給処分の取り消しを求めた訴訟で、東京高裁(水野有子裁判長)は19日、女性の死亡を労災と認め、不支給を取り消す判決を言い渡した。

 高裁判決によると、女性は2015年5月、要介護者の自宅に住み込みで7日間働き、総労働時間は105時間に及んだ。勤務後に訪れた入浴施設で倒れ、亡くなった。

 一審・東京地裁は、家政婦として担った家事は、労働基準法の適用外となる「家事使用人」の仕事で、労災の検討対象になるのは介護の仕事をした31時間半だけだと判断。「過重業務」にはあたらないとして、遺族側の請求を棄却した。

 だが高裁は、家政婦紹介と介護事業を営む企業が女性に介護だけでなく家事業務も指示し、家事と介護で労働時間や賃金が明確に分けられていなかったことから、女性は「家事使用人」ではなく、家事・介護を一体として業務とする同社に雇われた労働者だと判断。家事分の労働時間も考慮し、女性の死亡は「短期間の過重業務」が原因と認め、不支給処分は違法とした。

 厚生労働省は「国の主張が受け入れられなかったものと承知している。今後の対応については、判決内容を十分に精査するとともに、関係機関とも協議した上で適切に対応してまいりたい」とコメントした。(米田優人)

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 「亡き妻を労働者として認め…

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