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「男性活躍推進条例」の策定を目指す湯崎英彦・広島県知事=2025年2月10日午前10時43分、広島県庁、興野優平撮影

 広島県の湯崎英彦知事は10日の記者会見で、家庭内での男女の偏った役割分担意識を解消するための条例策定を目指す考えを示した。県の意識調査の結果、家事・育児の分担について男女で満足度に大きな隔たりがあり、条例策定で男性の家事・育児参画などを促し、性差による負担の偏りを解消する狙いがあるという。

 策定する方針の「男性の家庭生活における活躍の推進に関する条例」(仮称)には基本理念のほか、県や事業者の役割などを盛り込む方針で、県の施策にもつなげるという。

 県は1月、家事・育児についてネット上で意識調査を実施。役割分担などを尋ね、男性900人、女性2千人から回答を得た。

 その結果、子どもの食事や入浴といった育児を「パートナーと分担している」と答えたのは、男性は41~60%だったのに対し、女性は20~41%。自分が担っていると答えたのは、男性は3~9%、女性は43~69%だった。また、夫婦間の家事・育児の分担についての満足度は、男性の約9割が「満足」と答えたが、女性は約6割にとどまった。

 湯崎知事は条例策定の狙いについて「男女問わず子育てしやすい広島県を実現したい」と述べ、社会全体で機運を醸成していきたいとした。県によると、男性の家事・育児への参画を推し進める条例は珍しく、早ければ6月議会に提案するという。

 ただ条例策定は、行政が様々な態様のある家庭に踏み込む形になる。これについて湯崎知事は「性差に関する固定的な役割分担意識がバイアス(先入観)としてあり、社会全体で取り組まなければいけない。その結果として、それぞれの家庭のあり方があると思う」と述べた。

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