写真・図版
室町時代の酒を再現した「興福寺多聞院×水端1568」。(右から)辻さんと山本さん、山ノ内さんらが手がけた=2024年8月26日、奈良市登大路町、今井邦彦撮影

 興福寺の僧が記した「多聞院日記」の記述をもとに、室町時代に盛んだった「寺院醸造」の酒を奈良県御所市の油長(ゆうちょう)酒造と興福寺常如院が再現し、「興福寺多聞院×水端(みづはな)1568」の名で販売を始めた。当時の味を復活させるために奈良の地下水を使い、焼きものの大甕(おおがめ)で仕込んだという。

 「水端」は、油長酒造の人気銘柄「風の森」が最新技術で造られているのとは対照的に、歴史資料から再現した古来の技術によって造られるシリーズだ。

 興福寺の塔頭(たっちゅう)・多聞院の僧らが1478~1618年に書き残した「多聞院日記」には、中世の寺院で盛んだった酒造りの記述が多く、今回は1568年の記録を参照して、室町時代の酒を再現した。

 この年の記述では、仕込みの…

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