実がくっついて規格外になった「双子果(ふたごか)」のサクランボが、高温の影響で例年に比べて増えている。生鮮食品を扱う通販サイトが売り出したところ、割安感とその形から、人気を集めている。訳あり品として扱う地元の産直施設でも反応は上々だ。
国産サクランボの約7割を占める山形県産の出荷が今月から本格化したのにあわせ、東京の株式会社「食文化」が運営する通販サイト「うまいもんドットコム」と「豊洲市場ドットコム」では双子果を扱い始めた。
双子果は、花芽ができる前年が高温だとできやすい。同社によると、今年は近年になく多いといい、摘果も追いつかないという。正規の値段で出荷できるサクランボが減った生産者にとっては大きな打撃だ。
このため、山形県東根市に拠点をもつ集荷業者を通じて双子果を集め、通常より安く消費者に食べてもらうことで、少しでも生産者の収入確保につなげようと企画した。
「食べて応援!双子さくらんぼ」と銘打って佐藤錦を1キロ3980円(税込み、送料別)で販売したところ、数日で用意した500キロがすべて売れた。
うまいもんドットコムの仕入れ担当、八尾昌輝さんは「味もよく、正規品なら1キロ5500円以上の値が付くところ3割近く安い。双子の形状もSNSで『かわいい』と評判になっている」と人気の理由を語る。
まとまった数量が入荷すれば、その都度、販売する。6月下旬までは佐藤錦を、それ以降は紅秀峰に切り替えて販売する予定。詳しくは双子さくらんぼ販売のページ(https://www.tsukijiichiba.com/user/product/36358)で。
一方、「双子果」は地元の産直施設でも販売されている。
天童市の「道の駅天童温泉」に隣接する産直店では、訳あり品のコーナーで「双子果」「双子ちゃん」などのラベルをはったパックが手頃な値段で並べられている。担当者は「日中でほぼ売れてしまうことが多い」と話す。このほか、東根市の産直施設などでも扱っている。
また、JAさがえ西村山(本所・寒河江市)は、双子果が増えていることを受け、今シーズンに限り、各地の市場に出荷している。
吉村美栄子知事は今月6日の定例会見で、双子果について「大変かわいらしい。消費者の皆さんに応援してもらい、楽しんでいただければ」とPRした。(鈴木淑子、高橋昌宏)