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国税庁が入る財務省庁舎=東京都千代田区

 2024年分の所得税の確定申告書に、同年6月から始まった「定額減税」の記入欄が設けられた。単年限りとされる減税を受けた「限定モデル」だけに、記入漏れの恐れが指摘されている。漏れを放置するといったん受けた減税が「無効」になりかねないとして、国税庁などは2月からの確定申告期間を前に注意を呼びかけている。

 定額減税は、1人あたり所得税3万円と住民税1万円の計4万円が減税されるというもの。これを受けて24年分の確定申告書には、「令和6年分特別税額控除」という欄が新設された。

 この欄に所得税の減税総額を記載する仕組みだ。例えば扶養家族が3人いる納税者の場合、自身の分と合わせた4人分の12万円と入れる。記載しないと、減税されないままの納税額が算出され、必要より多い税金を納める恐れが出てくる。

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2024年分の確定申告書には「令和6年分特別税額控除」という欄が新設された

 会社員の場合、減税分は24年中の源泉所得税から差し引かれていた(控除)が、医療費控除やふるさと納税などで確定申告をする場合は、定額減税分を記入する必要がある。公認会計士の山田真哉さんは「減税について記入漏れがあると、源泉所得税の控除分が『無効化』されることになる」と話す。

 国税庁によると、記入を失念しても確定申告期間(3月17日まで)であれば、出し直すことができる。また期間後であっても一定の手続きを踏まえれば修正することが可能だ。誤りに気づかないまま放置すれば過剰に税金を納めることになりかねない。

 国税庁は、電子申告「e―Tax(イータックス)」を使って手順通りに入力すれば記入漏れは起きにくいと説明。紙による申告も多いため、インターネットなどで公開している確定申告の「手引き」で注意を呼びかけ、税務署などに設置される申告会場でも「周知を促していきたい」としている。

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