鳥取県庁を訪れた新倫子さん=2024年4月17日午後3時10分、鳥取市、富田祥広撮影
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 約40年にわたり学校給食の栄養士をしてきた鳥取県倉吉市の新(あたらし)倫子さん(61)が、定年を機に新たな挑戦に踏み出した。国際協力機構(JICA)の海外協力隊員として5月から南太平洋の島国トンガに渡り、住民の食生活改善に向けた活動に取り組む。

 倉吉市生まれ。短大を卒業後、県内の小中学校で栄養士として子どもたちと向き合ってきた。10年ほど前からは県スポーツ栄養研究会に所属し、県内のスポーツ選手の栄養指導にも取り組んできた。「周りに助けられ、後ろを振り向いたら40年たっていた」

 忙しい日々の中、ある思いがじわじわと大きくなっていた。「このまま日本におるのかな。海外で何かせんないけんのんじゃないかなあ」。4歳下の弟が30年ほど前、海外協力隊員としてアフリカのガーナで活動したことも、心を海外に向かわせていた。

 ただ、「娘2人の子育てがあったし、1人の職場なので仕事を休んで行くわけにもいかなかった」。

 そして迎えた定年。「仕事もひと区切り。社会に貢献したい」と協力隊に応募した。日本に残る夫は面接や提出が必要なリポートのアドバイスをしてくれた。社会人になった娘たちも応援してくれた。

 派遣先は栄養士の要請があったトンガに決まった。国の機関に配属され、栄養や調理について指導する。JICAによると、トンガでは生活習慣病予備軍とされる人たちが多く、健康的な食生活への改善につながる活動を期待されているという。

 新さんは「地元の食材を使ってバランスの良い献立を考えたり、レシピを作ったり。地元の人たちと一緒に調理実習もしたい」。初めての海外暮らし。「不安はあるけど楽しみ。私なりに精いっぱいやって、お役に立てれば」

 語学や異文化理解など約2カ月間の訓練を受け、5月初旬に日本を出発する。派遣期間は2年で、帰国は2026年5月の予定だ。4月17日には倉吉市役所や鳥取県庁を訪れ、広田一恭市長や県の担当者らに「現地の人たちの健康増進に寄与したい」と抱負を語った。(富田祥広)

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