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ペットボトルで作った釣りざおでゴズ釣りに挑む生徒たち=2024年9月9日午後1時53分、松江市東茶町、堀田浩一撮影

 島根県立松江商業高校生が9月上旬、松江市東茶町の宍道湖でゴズ釣りに挑んだ。釣った後は調理して食べ、地元の恵みを体感した。

 ゴズとは、おもに海水と淡水が混じり合う汽水域に生息するハゼのことで、出雲地方での呼び方。10月に成魚となり、ゴズ釣りの本格シーズンを迎えるが、8~9月には5~10センチの未成魚もよく取れるという。

 ゴズ釣りは、NPO法人自然再生センター(松江市)が食を通じて宍道湖の恵みを知ってもらおうと企画。課題研究の授業で宍道湖の環境保全について学ぶ同校商業科3年の男女9人が参加した。

 釣りを始める前、センターの桑原弘道さんが、宍道湖の汽水域は塩分濃度が一定に保たれていて、ハゼにとってはとても暮らしやすい環境であることを説明。生徒たちはパネルに記された塩分濃度の分布図にまじまじと見入った。

 その後、生徒たちはペットボトルで作った釣りざおを手に岸辺へ。糸を垂らして待つこと3~4分。江角仁華(ひとは)さんが歓声を上げながら、体長5センチほどのシモフリシマハゼを釣り上げた。「手に振動がきてびっくりした。釣りって楽しい」。周りの生徒やセンターのスタッフも負けじと、10センチ前後のマハゼやウロハゼを次々と釣り上げ、1時間ほどで60匹ほどになった。

 釣ったばかりのハゼは、その場でウロコを取るなど下処理して天ぷらに。生徒たちはふっくらとした白身の食感や甘みを堪能した。初めてゴズ釣りを体験したという難波もも香さんは、「こんなに魚がいるとは知らなかった。宍道湖の恵みを地元の人たちに伝えていきたい」。

 生徒たちは今夏、宍道湖で繁殖する水草を刈り取り、畑にまく活動にも取り組んだ。センターの小倉加代子副理事長は「化学肥料がないころは、それが当たり前の光景だった。地元の恵みを生業(なりわい)としていく循環型社会への関心も高めていきたい」と話した。(堀田浩一)

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