新設されたLDR室。ついたての向こうにはソファが置かれ、家族も一緒にいられる=龍ケ崎済生会病院提供
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 茨城県龍ケ崎市にある龍ケ崎済生会病院の産科病棟の改修が終わり、4月から全面的に運用を始めた。「地域のお産を守りたい」と訴え、クラウドファンディングで資金の一部を募ったところ、目標額を大きく上回る善意が寄せられた。

 改修では従来の陣痛室と分娩(ぶんべん)室をなくし、陣痛から出産、産後の回復まで移動することなく家族とも過ごせるLDR室を新設。個室や授乳室、ラウンジなども病院のイメージを減らし、くつろげる装いにした。LDR室の導入で、陣痛室から分娩室への移動に伴う妊婦の負担や医療面のリスク軽減につながるという。

 事業費は約3300万円。このうち1千万円を目標に、昨年12月から今年1月末まで寄付を募った。その結果、インターネットでの寄付のほか、口座振り込みや直接持参した人を含め351人から計1511万7千円が寄せられた。地元の龍ケ崎と近隣の稲敷、利根、河内の4市町も計900万円を補助した。

 同院は龍ケ崎市内で出産できる唯一の施設で、近隣を含めた地域の産科医療を支えている。一方で、出産件数はこの10年で約6割減った。このまま減り続けると、収支面などから診療体制の維持が難しくなるといい、出産を増やす環境整備を目指して、改修に踏み切った。

 寄付には多くの応援の言葉が添えられていた。「出産でお世話になった子供達(たち)も21歳と20歳になりました。次はこの子達が安心安全なお産が出来ますように」「未来を担う新しい命の誕生に、わずかでも貢献できると嬉(うれ)しいです」と記したコメントもあった。

 全面リニューアル後の4月1カ月で、15人の赤ちゃんがここの病棟で生まれたという。産婦人科部長の小倉剛医師は「多くのご支援をいただき、本当にありがとうございました。より安心して出産できる環境を整え、まちづくりに貢献していきます」と話した。(福田祥史)

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