宇宙でも快適に過ごせるよう、飛行士の「生活の質(QOL)」を上げるための商品開発が進む。将来の宇宙旅行にはもちろん、被災地など地上での活用も期待されている。
家族と遠く離れた世界で、限られたメンバーと過ごす。仕事と生活の場が同じでメリハリをつけにくい。気分転換にちょっと外を散歩、というわけにもいかない。
究極の「閉鎖環境」である国際宇宙ステーション(ISS)は、ストレスがたまるという。
せめて食事を楽しんでもらおうと、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、前身の宇宙開発事業団(NASDA)の頃から「宇宙日本食」開発を企業に呼びかけてきた。
第1弾の一つとして2002年から開発が始まったのがハウス食品グループのカレーだ。サンハウス食品(愛知県)の小笠原徹哉工場長は「宇宙食なんてどう作ればいいのか戸惑ったが、せっかくなら飛行士に一番いいものを」と取り組んだ。
まず宇宙でおいしいカレーの味を明らかにするため、飛行士に近い環境で生活する人に話を聞いた。訪れたのは、太平洋の赤道付近に浮かぶ「クリスマス島」(キリバス)。NASDAの実験施設があった。
「まずくはないが…」
閉鎖環境で長期間働く職員に…