精神疾患を理由に病気休職した公立学校の教員が、2023年度は初めて7千人を超えました。
教職員の支援に長く関わり、「教員のメンタルヘルス――先生のこころが壊れないためのヒント」(大修館書店)の著書もある北里大学医学部精神科学の大石智講師は「働く人としての権利が守られる仕組みが必要」と言います。
――教職員のメンタルヘルス対策強化を国も打ち出していますが、精神疾患で病気休職する教員は近年増え続けています。なぜでしょう。
学校の先生が追い詰められる状況が本当にたくさんあると感じます。
休日出勤や残業、持ち帰り仕事など仕事量の多さ、事務的業務や保護者対応などによる子どもたちと接する本務に割ける時間の減少、子どもや保護者への気遣いを含め感情の調整を常に求められる「感情労働」という職業の特性など。
ここ数年、顕著なのは人手不足の影響です。
他にも要因は多様で、これらが複合的に絡み合って追い詰められていくのですが、先生たちの支援に関わっていて最近思うのは、学校は特に、働く人の基本的な権利が損なわれやすい環境になってしまっているのではないかということです。
学校は働く人の権利が損なわれやすい
――どういうことでしょう。
例えば、働く人の権利として…