福岡県宗像市は、保育所や認定こども園などに通う、発熱や皮膚炎といった急な体調不良となった乳幼児を、仕事などの都合で迎えに行けない保護者に代わって看護師らが迎え、病児保育室で預かるサービスを始める。県内の自治体として初めての取り組みで、5月10日から運用する。
市子ども育成課によると、市内にある23の保育所や認定こども園、幼稚園には約2100人が通う。共働き世帯が増え、会社を抜けられずに迎えが遅れることや、福岡市や北九州市といった市外で働く世帯では、職場から園などまで2~3時間かかることもあるという。
保護者が迎えに来るまで、乳幼児を別部屋で移動させて対応するなど、限られた人数で勤務する保育士らの負担にもつながっていた。
このため市は、市内の病児保育室「めばえ」や宗像医師会、タクシー協会と協議を重ねてきた。
サービスは、園などから乳幼児の体調不良の連絡を受けた保護者から依頼があった場合、病児保育室の看護師が園までタクシーで迎え、診察後に病児保育室で最長午後5時半まで預かる。
対象は市内の保育所などに在籍する市内在住の生後6カ月から未就学児で、保護者の勤務などの都合によって家庭で保育できない場合に限る。病児保育室でサービスの事前登録をし、園などに同意書の提出が必要となる。サービスの利用料金は1回1千円で、病児保育は無料(延長料金は除く)。
市の担当者は「子どもたちがいち早く医療ケアを受けることができ、保護者の負担を減らす狙いがある。サービスの利用で、子育てと仕事の両立を図り、働く場所や時間の選択肢が広がってほしい」と語る。(前田伸也)